去痰薬
- 2020.08.11
- 化学
こんにちは。
今日の化学blogは去痰薬についてです。
痰、喀痰は粘液の1種で、動物の粘膜から分泌されるネバネバした流体です。色は透明色から黄色で、呼吸器系で作られた粘液に限り、鼻腔由来のものではなく、特に唾によって出されるものです。
9割が水で、残りの多くはムチンと呼ばれる糖タンパク質です。ムチンはフコースとシアル酸で構成され、この2つの比率が変わるとネバネバしてしまいます。そのため、去痰薬は痰をさらさらにすることで、痰の排出を容易にする薬です。
「焦って驚嘆するほど株は危ない」
焦;アセチルシステイン
驚嘆;去痰
か;カルボシステイン
ぶ;ブロムヘキシン
危;アンブロキソール
これが主な去痰薬です。では、それぞれ各論を見ていきましょう。
ブロムヘキシンは、気道粘膜分泌促進作用と痰の溶解作用があります。肺サーファクタントの分泌促進をします。また、アンブロキソールはブロムヘキシンの活性代謝性物です。肺胞Ⅱ型上皮細胞からの肺サーファクタント分泌促進をします。この2つの薬はよく似た作用機序です。
アセチルシステイン、Lーメチルシステイン、Lーエチルシステインは、粘膜のムコタンパク質のジスルフィド結合を開裂し、粘液の粘度を低下させます。それに似た名前のLーカルボシステインは、構造中にSH基を持っていないため、粘液のムコタンパク質のジスルフィド結合を開裂させる作用はありません。その代わり、粘液構成成分の調整作用(喀痰中のシアル酸上昇、フコース低下)によって痰をさらさらにしています。
以上が去痰薬です。
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