NSAIDsの特徴

NSAIDsの特徴

こんにちは。

 

最近始まったドラマでアンサング・シンデレラというドラマがあります。これは病院薬剤師をテーマにしたドラマなのですが、1話目に妊娠している患者さんにロキソプロフェンが処方されていて、疑義照会をかけられているシーンがありました。今日は、ロキソプロフェン(ロキソニン)を含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の作用機序と副作用についてお話したいと思います。

 

まず、炎症は、熱感、発赤、疼痛、腫脹などが起きますが、これはロイコトリエン(LT)とプロスタグランジン(PG)によって引き起こされています。細胞膜リン脂質はホスホリパーゼA2によってアラキドン酸になり、これがシクロオキシゲナーゼと5-リポキシゲナーゼにより、先程言ったPGや、LTになります。PG、特にE2とI2は血管拡張、発痛促進、発熱、血小板凝集抑制作用があります。また、LT、特にB4,C4,D4は白血球遊走、血管透過性亢進、平滑筋収縮作用があります。

NSAIDsはシクロオキシゲナーゼを阻害することにより、PGを産生できなくすることで、抗炎症・鎮痛・解熱作用をもたらします。しかし、副作用として、消化性潰瘍、腎障害、喘息発作などがあり、消化性潰瘍、アスピリン喘息、妊婦には禁忌の薬になっています。

 

では、なぜ消化性潰瘍になってしまうのでしょうか。

体内でアラキドン酸から産生されるPGの中でも特に、E1,E2,I2は防御因子増強作用として、血管拡張(粘膜血流増加)、胃粘液分泌増加作用があり、攻撃因子減弱作用として、酸分泌抑制作用があります。NSAIDsによりPGを抑制してしまうと、発熱や炎症が抑えられるとともに、先程の作用も阻害してしまうため、胃酸分泌促進、胃粘液分泌抑制、粘膜血流低下が起き、消化性潰瘍になりやすくなってしまうのです。

 

また、なぜ喘息発作が起きてしまうのでしょうか。

NSAIDsはシクロオキシゲナーゼは阻害しますが、5-リポキシゲナーゼは阻害しません。そのため、シクロオキシゲナーゼがお休みの分、アラキドン酸がたくさん余ってしまい、リポキシゲナーゼがたくさんLTを作ってしまいます。LTは平滑筋収縮作用が強いため、気道が収縮され、喘息発作が起きやすくなってしまうのです。

 

そして、妊婦に使ってはいけない理由としては、PGの子宮収縮作用にあります。NSAIDsはこれも阻害してしまうので、子宮収縮減弱が起きてしまうため禁忌とされています。

 

以上がNSAIDsの特徴です。多くの疾患に使われている便利な薬ですが、副作用のこともしっかり把握して安全に使っていきたいものですね。