消化器疾患②

消化器疾患②

こんにちは。

前回の消化器疾患①の記事では、胆嚢疾患についてお話ししました。今回の記事では、急性膵炎、慢性膵炎、膵臓癌についてお話ししていこうと思います。

 

急性膵炎は、膵臓の消化酵素が膵臓自身を消化している恐ろしい状態です。激しい上腹部痛を主訴として、突然発症します。多くの場合、嘔吐、発熱、頻脈、白血球増加、血中・尿中の膵酵素の上昇を伴います。原因には、アルコール、胆石、薬剤が挙げられますが、何故だか、アルコールが原因なのは男性の方が多く、胆石が原因なのは女性の方が多いという逆転が起こるのが不思議なところです。また、薬剤にも原因があるのは大切なポイントです。例えば、バルプロ酸、スタチン系、ACE阻害薬、フロセミドなどが挙げられます。薬剤性は少なく、アルコール性、胆石性についで多いのは特発性です。治療は、絶食による膵臓の安静、十分な初期輸液、できるだけ早期の経腸栄養開始、十分な除痛、などが挙げられます。重症例では、抗菌剤も投与します。

慢性膵炎は、膵臓の内部に不規則な繊維化、細胞浸潤、実質の脱落、肉芽組織の慢性変化が生じ、進行すると膵外分泌・内分泌機能の低下を伴う病態で、多くは不可逆的です。主な症状は、反復する上腹部痛、膵炎発作などがあります。原因は、アルコール性、特発性、胆石性が挙げられ、アルコール性は主に男性が、特発性は主に女性が原因に多いです。治療としては、禁酒、禁煙、コーヒー・香辛料制限、低脂肪食、低タンパク食などの日常食生活の管理があります。また、外分泌機能低下の際には、消化酵素薬を補充し、糖尿病の場合はインスリンを補充します。

膵臓癌は、近年増加の一途を辿っていて、最も予後の悪い癌です。リスクファクターとして、家族歴、生活習慣病、慢性肝炎、喫煙、アルコールなどが挙げられます。症状は、腹痛、腹部膨満感、黄疸、体重減少、背部痛があり、治療には外科的手術と、薬物療法があります。膵臓癌は他の癌と比べ、5年生存率が著しく悪い癌なので、なるべく手術例数の多い病院で治療をすることが望ましいです。

 

 

以上が膵臓疾患についてです。