腸溶性製剤

腸溶性製剤

こんにちは。

 

今日は化学blogをやっていきたいと思います。前に放出制御製剤として徐放性製剤についてお話ししたのを覚えているでしょうか。今回もその放出制御製剤になるのですが、前回とは違ってら腸溶性製剤について話していこうと思います。

 

 

腸溶性製剤は、薬物のリザーバーを水に可溶性の膜で覆い、膜の溶解、または崩壊な律速として放出する技術です。この膜が、消化管液の塩基性pH(6.8程度)によって溶けるものをこう言います。つまり、胃の中(酸性)では薬物放出は起こらず、腸に移行してから放出が起こるのです。これは、酸に弱い薬物にも使われています。

 

腸溶性製剤の薬物放出に影響する生体因子はpHと胃内容排出速度があります。

pHは、薬物吸収部位(胃や腸)のpHが関わってきます。胃は酸性なのでpH1-3くらい、腸はアルカリ性なのでpH7-9くらいです。これによって薬物の安定性、溶解度・溶解速度が変化します。これを変化させるものとして、消化管運動、食事、併用薬などがあげられます。

胃内容排出速度(GER)は、異内容物が小腸へ移行する速さのことを言います。胃で吸収される薬物は、GERが小さい方が胃によく留まることになるので、吸収性が上がります。反対に、腸で吸収される薬物は、GERか大きい方が吸収性が上がります。これらを変化させるものとして、消化管運動、食事、併用薬などがあげられます。

 

ここまで読むとわかるように、併用薬も全ての生体因子に影響を与えます。例えば、異内容排出速度は、下剤や便秘薬により消化管運動が影響を受けます。また、コリン作動性薬物などは消化管の運動性を亢進し、GERが大きくなります。そして、pHは、制酸剤を服用することで上がります。

 

 

このようにして、腸でよく溶ける薬は作られ、何が溶け方を変化させてくるのかを説明していきました。薬物は、飲んですぐ溶けることがいつもいいと言うわけではなく、薬物の放出をコントロールすることで、メリットもあるのです。