肝炎について③
- 2020.05.23
- 化学
こんにちは。
今日は肝炎の記事の最後です。C型肝炎について話していこうともいます。
C型肝炎の症状はマイルドで劇症化することもまれです。60~80%で慢性化し、肝硬変、肝細胞がんへ進行しやすいです。感染経路は、医療行為、性交渉、などですが、半数が原因不明です。
C型肝炎の治療はHCVを体内から排除することを目標としています。治療方法は3種類あります。B型肝炎の時も用いた、インターフェロン製剤、リバビリン、DAAであり、現在主流なのはDAAです。
インターフェロン製剤は、α、β、PEG-IFNがあり、B型肝炎と同じです。副作用として、抑うつ症状があります。
リバビリンは、プリンヌクレオチドと似た構造を持ち、ウイルスの核酸合成抑制作用があります。IFNとの併用で効果があります。副作用として、リバビリンがリン酸化された物質が赤血球の膜を弱らせることで起こる溶血性貧血があげられます。今まではIFNを多く使っていて、日本で多い1型、2型肝炎に用いており、特に2型のC型肝炎にはIFNは有効でした。
DAAには3種類あり、プロテアーゼ阻害薬である、NS3/4A、複製複合体阻害薬である、NS5A、ポリメラーゼ阻害薬である、NS5Bです。HCVはRNA(+)ウイルスであり、翻訳がスタートすると、ひとつながりのたんぱく質を作ります。このたんぱく質は、構造たんぱく質と複製に利用される酵素がつながっていて、このままでは機能しません。そこで、NS3/4Aがこのたんぱく質を切ることで、複製できるようにしています。したがって、NS3/4Aを阻害することで、HCVが増殖できないようになります。
また、核酸アナログによって、HCV RNAに取り込まれ、伸長を阻害するものがポリメラーゼ阻害薬です。これがNS5Bです。HCVの増殖にはNS3/4Aでバラバラにされた酵素が小胞体の膜上でNS5Aによって集められることが必要です。したがって、この複製複合体を阻害することで、ウイルス増殖を抑えるのがNS5Aです。
DAAはこの3種類の組み合わせによって投与しています。
これがC型肝炎の治療薬です。