気管支喘息②

気管支喘息②

こんにちは。

 

今日の化学blogは前回の記事で気管支喘息の症状や原因について話していきましたが、その続きになります。こちらでは、喘息の薬物治療について話していきます。

 

治療薬には大きくわけて、発作治療薬と、発作予防薬があります。

 

発作治療薬

・β2受容体刺激薬(吸入)

・アミノフィリン(静注)

・副腎皮質ステロイド性薬(静注)

・アドレナリン(皮下注)

・抗コリン薬(経口)

発作予防薬

・β2受容体刺激薬(吸入・経口・テープ)

・テオフィリン(経口徐放剤)

・副腎皮質ステロイド性薬(吸入)

・抗アレルギー薬

・ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体

 

β2刺激薬は、まず気管支平滑筋の細胞膜のβ2受容体に結合し、受容体を刺激します。すると、アデニル酸シクラーゼが活性化され、気管支平滑筋細胞内cAMPを増加します。そして、気管支平滑筋を弛緩したり、細胞内遊離Ca+低下、ケミカルメディエーター遊離抑制、抗アレルギー効果を示します。サルブタモール、プロカテロールは発作治療薬で、過剰投与により不整脈による心停止の恐れがあります。また、振戦、低カリウム血症、頻脈の副作用があります。サルメテロール、ロプテロールは発作予防薬で、こちらも振戦、低カリウム血症、頻脈の副作用があります。

 

アミノフィリン、テオフィリンなどを、キサンチン誘導体といいます。ホスホジエステラーゼを阻害することで、cAMPを増加し、気管支平滑筋を弛緩します。この2つの製剤は、血中有効濃度が8~20mg/kgと決められていて、これを超えると副作用が出てしまいます。そのため、治療薬物モニタリング(TDM)が必要な製剤です。副作用として、頭痛、悪心、嘔吐、頻脈、不整脈があります。

 

副腎皮質ステロイド性薬は、様々な細胞のサイトカイン産生を抑制したり、肥満細胞や好酸球が減少します。また、血管透過性亢進の抑制をすることで、浮腫を減少し、炎症による粘膜分泌を抑制します。そして、粘液の粘稠化を防止して、気道狭窄を軽減します。このように多岐にわたった作用のせいで副作用が出やすくなってしまいます。特に、吸入薬では、咽頭刺激による嗄声や口腔内の免疫を抑制するため、口腔カンジダを起こすことがあります。

 

抗コリン薬は、ムスカリン受容体の遮断により、気管支平滑筋を弛緩させます。基本的に交感神経が興奮すると、気管支は拡張します。また、副交感神経が興奮すると、収縮します。アセチルコリンは副交感神経の興奮を誘導できるため、抗コリン薬で、アセチルコリンの働きを抑えて気管支収縮の抑制をします。イプラトロピウム、オキシトロピウムは単独でなく、補助的に使われます。前立腺肥大症、緑内障のある患者さんには投与してはいけません。チオトロピウムは、吸入ステロイドなどにより、症状の改善が見られない場合に併用して使われます。

 

今回の記事ではここまで説明しますが、次の記事では抗アレルギー薬などについて話していこうと思います。