美容器具にも使われている?!

美容器具にも使われている?!

こんにちは。

 

前回の記事で消化管吸収を向上させるための工夫を説明していきましたが、今回は、経皮吸収を向上させるための工夫について説明していきたいと思います。

経皮吸収の薬剤なんてあまり身近に思えないかもしれませんが、化粧品だと考えれば馴染みが出てくるでしょうか。スキンケアとして行う、化粧水や美容液、もしくは美顔器などもより肌から吸収されやすいように工夫されています。これも薬物と同じです。

皮膚透過の改善で機械を使うことがあります。

 

・イオントフォレシス(微弱電流にて、イオン性の薬物を電気の力で生体内に移行させるもの。)

・エレクトロポレーション(比較的強い電気を短時間・連続的に作用させ、細胞膜に小さな穴を開けることで薬物の通り道を作るもの。)

・ソノフォレシス(超音波を作用させ、細胞層の振動や熱を発生させ、薬物の移行性を向上させるもの。)

・マイクロニードル(生分解性の可溶性突起を用いて、角質に穴を開けて薬物を透過させるもの。)

・密封療法(皮膚を覆い、皮膚を水和させることで薬物の皮膚透過性を向上させるもの。)

 

これらがあげられます。このようにみるとすごい物々しい機械に感じますが、よく見てみると使ったことのある方もいるのではないでしょうか。例えば、イオントフォレシスは、美顔器で同じ効果を使っているものを見かけます。化粧水をつけた肌にピリピリする機械を当てると化粧水の浸透が良くなる、みたいなものです。また、マイクロニードルも、ヒアルロン酸やビタミンで見たことがあるのではないでしょうか。目の下やほうれい線につけるプルプルしたパッチがまさにこれです。ヒアルロン酸で作った針を皮膚に刺して、そこで溶かすことで肌にハリを持たせるものです。これはすごく細い針なので痛みを感じることはありません。私たちの皮膚で1番のバリアは角質層なのでこれに穴を開けて中に薬物を入れるのはすごく原始的ですが効果的な方法だと思います。

 

密封療法のイメージは、絆創膏です。絆創膏を貼って次の日剥がすと、皮膚がふにゃふにゃになっていることはありませんか?これが密封療法の原理です。皮膚がふにゃふにゃだと薬物が通りやすくなるからです。赤ちゃんがオムツで蒸れてしまって、皮膚が赤くなったとき、病院で軟膏を処方してもらうでしょう。しかし、軟膏を塗って、オムツを履くことで密封療法のような効果が出てしまい、予想以上に薬物が吸収され、副作用が出やすくなってしまいます。密封療法の注意点です。

 

 

このように、薬物をより効率的に吸収させる方法はすごく身近にも溢れているのです。