消化管吸収を高めるために・・・
- 2020.05.15
- 化学
こんにちは。
前の記事で薬が体内に入るとき、溶けないと入らないんだよ。血液中に移行するのは色々な方法があるんだよ。ということを説明しました。今日は、薬が体内に吸収されやすくなるようにどのようが工夫がされているのかを説明していきたいと思います。
まず、消化管粘膜で効率よく薬物を吸収させるには、
・分子量が500以下
・消化管液中で溶かす
・高い濃度にする
・ある程度、脂溶性が必要
・似た物質を一緒にしない
などがあげられます。
また、皮膚から薬物を吸収させるには、高い脂溶性が必要になると説明しました。消化管吸収性を高めるために、水溶解性向上(エマルション、複合体形成)、吸収促進剤を使う、酵素を阻害する、排出ポンプを阻害するなどの方法があります。そして、経皮吸収を良くするために、吸収促進剤を使う、吸収機器を使うなどがあります。経皮吸収は次回説明しようと思います。
まず、水溶解性を良くするために、エマルションを形成させます。エマルションを形成すると脂溶性薬物は水によく溶けるようになるのです。また、複合体形成(例えば安息香酸ナトリウムカフェインなど)も同じ効果が得られます。
次に、吸収促進剤を使います。吸収促進剤を消化管粘膜に作用させ、その構造を一過性に変化させることによって薬物の透過性を亢進させる方法です。エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤は、細胞間接合部位のカルシウムイオンを除去することで、普段ならぴったりくっついている細胞同士の間を広げて薬物の透過を促進します。
さらに、薬物を分解する酵素を阻害することで、吸収部位での薬物濃度を上げることができます。同じように、消化管上皮細胞には消化管側に物質を排出するトランスポーターがあるため、非イオン性界面活性剤やポリエチレングリコールを用いて吸収性を上げることができます。
このようにして薬物はより体に吸収されやすい工夫がされているのです。次回は経皮吸収の工夫について説明していこうと思います。
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