薬を水で飲まないとどうなる?

薬を水で飲まないとどうなる?

こんにちは。

 

お薬は水、もしくはぬるま湯で飲んで下さいね。」このセリフを1度は聞いたことありますよね?頭ではわかっていても、苦いから、水の味が嫌だから、などの理由でジュースで飲んでしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、その行為は想像以上に危険なのです。

 

 

体内に入った薬物は、酵素によって代謝され、体内からなくなります。体内にある様々な酵素のどれに代謝されるかは、薬物によって変わってきます。複数の薬物が同じ酵素で代謝されることもあります。

薬物の多くは、CYP3A(主にCYP3A4)によって代謝されます。同じCYP3Aによって代謝される薬物を併用すると、併用された複数の薬物が代謝をしてくれるCYP3Aを競い合って、戦いに負けた方の薬物の代謝は阻害されます。そして、阻害された薬物の血中濃度が上がり、薬の効き目が強く現れます。例えば、椅子取りゲームを想像して下さい。椅子が代謝酵素であるCYP3Aです。ゲームをする人がCYP3Aによって代謝される薬物たちです。椅子の数は変わらなくても、敵チームが増えれば増えるほど、自分のチームが椅子に座れる可能性は低くなります。椅子に座れなければ、薬物は代謝されないので、そのまま血中に残ることになります。その分薬の効き目が強く表れてしまうことになるのです。

 

さて、皆さんも飲んだことのあるグレープフルーツジュース。これは食品ですが、小腸のCYP3Aを阻害する効果があります。グレープフルーツに含まれる、フラノクマリン類6,7-ジヒドロキシベルガモチンがCYP3Aを阻害します。つまり、グレープフルーツでなくてもこの成分を含んでいたら阻害されてしまうのです。

 

 

また、コーヒーや紅茶に含まれているカフェインはCYP1A2によって代謝されます。もし、カフェインを含んでいる飲み物と、CYP1A2で代謝される薬物を同時に飲んだ場合、この2つが競い合ってしまい、薬の代謝速度が変わってしまいます。薬が規定よりも多く血中に残っている場合、中毒となってしまい、本来出にくい副作用が現れてしまうこともあります。

 

 

 

医者はそれぞれの薬がどのくらいで代謝されるのか、どのくらい飲んでしまったら体に害になるのかを考えて処方しています。せっかく薬を飲むならちゃんと効果を得たいですし、体を危険にさらしてしまったら元も子もありません。

 

これが薬はお水で飲んでくださいと言われる理由の1つです。