こんにちは。
今日はインフルエンザ薬についてのお話です。インフルエンザのお薬は陽性の診断をされたらなるべく早く飲まないといけません。私が数年前にインフルエンザに罹った時、なかなか病院に行かず、熱が出てから4日ほど経ってから検査をすることになってしまいました。その為、陽性反応が出ても、「今から薬を飲んでも効果ありませんがどうしますか?」と言われ、ひたすら寝て治したことがあります。その時はなんで今飲んでも効果がないのだろう?と思っていたのですが、感染制御学を学んでいるうちにその理由がわかりました。
インフルエンザウイルスは発熱後約48時間は増殖します。まずはこの増殖の仕方を知ることが薬の効き方を理解する第一歩でした。インフルエンザウイルスは、まず、①宿主(ここで言うとヒト)の細胞表面に吸着し、そして侵入を始めます。②侵入したウイルスは、核を放出し、宿主細胞の核に入り込みます。③そこでウイルスがコピーされ、増えます。そして最後に④宿主細胞からウイルスが放出されます。
インフルエンザ薬には①から④のどれかの働きを抑えて、ウイルスが増殖しない様にする薬があります。有名なタミフルは④の働きを抑えるものです。したがって、ウイルスが細胞の外に出ることを抑制するのみで、ウイルス自体を不活化させたり、増殖を抑制するものではありません。なので、ウイルスが細胞の外に出てしまう48時間以内に飲まないと効果が薄くなってしまうのです。
ちなみに、タミフルを処方された際に「症状が治っても最後まで飲み切ってください。」と言われるのにもとても重要な理由があります。これは、薬が効かなくなるのを抑える為です。ウイルスも毎回大人しく薬に抑えられてるわけではなく、少し変化をつけてきて薬の抑制から逃れようとします。これを耐性株と言います。耐性株の対策のためにも、しっかりと飲み切ってください。